沖縄の古民家

沖縄へプライベートできていることもあり、沖縄の古民家を視察に出かけました。

主要な木材産出地は、本島北部、石垣島於茂登岳、西表島など限られており、これらの地域は首里城など大規模建築物の建設・改修や木材需要の増加に対応する主要な供給地となりました。一般民家を建築する際は、集落周辺の山林から切り出すことも多く、こうした用材の確保も、建築を依頼した棟梁に頼むことが多かったようです。

一般民家の場合の木材の処理法として、建設に着工するまでの貯木も兼ねて、海岸などで潮干(スーカン)が行われました。これは半年から数年に及ぶ期間、砂浜に穴を掘って用材を埋めておくもので、虫がつきにくくするとか、材を硬くして変形やひび割れを防止するなどの効果があるとされています。

イヌマキ(チャーギ)は沖縄における主要な建築用材であり、強度や耐久性に優れている一方で、生長が遅く、大径材を確保することが困難です。柱、梁などの構造材のほか、家具などにも用いられ、あえて加工を施さずに雨端柱として利用されることも多くみられます。

フクギは屋敷林として植えられることが多く、材質的にねばりがある反面、ひび割れたりねじれたりなどの欠点もあります。一般的には小屋組みの束や梁など目立たない部分に使用されました。

モッコク(イーク)は芯材でなくても強く、細木でもねばりがあり、柱や梁、屋根桁、垂木に利用され、皮付きでも使用できます。昔は奄美大島から沖縄本島に運ばれることも多かったようです。

しかし、今日の古民家に最も多く用いられているのは、本来沖縄になかった杉です。柱、大引、根太、梁、桁などのほか、天井材、床材、壁材としても用いられ、まさに万能の用材として重用されています。